ハヌマーンは『ラーマーヤナ』に登場する猿(ヴァーナラ)の英雄であり、風の神ヴァーユの子にしてラーマに献身的に仕える従者である。その大義に彼が捧げる忠誠は、多くのヒンドゥー教徒にとって、ひたむきな帰依すなわちバクティそのものの模範となっている。ラーマの妃シーターが島の要塞ランカーに拐われたとき、彼女を見つけ出すのはハヌマーンである。彼は巨大な姿へと膨れ上がって一跳びに海峡を越え、ラーヴァナの都をひそかに探り、救出が近いことの証としてラーマの指輪を届ける。のちに、ラーマの弟ラクシュマナが戦場で瀕死の状態に陥ったとき、ハヌマーンはヒマラヤへと飛び、必要な治癒の薬草をただ一つ見分けることができなかったため、サンジーヴァニーの山全体を運び持ち帰った。
彼はラーヴァナとの戦いにおいてヴァーナラの軍を率い、ラーマの勝利の後には、彼に仕え続ける機会以外のあらゆる褒賞を辞退する。図像は、彼が自らの胸を引き裂き開いて、その内にラーマとシーターが祀られている様を示す姿で描かれる。並外れた力を持ち、意のままに大きさを変え空を飛ぶことができ、禁欲的な修行の代名詞ともなっているハヌマーンは、現代に生きるヒンドゥー教においてもっとも広く、かつ直接に崇拝されている神格の一柱であり、その祠はほとんどあらゆる村に見出され、『ハヌマーン・チャリーサ』は災いからの守護を求める幾百万もの人々によって日々唱えられている。
「彼は語り終え、渾身の力を奮い立たせ / 山の高みより飛び降りたり / その雄々しき四肢の一打ちごとに砕かれて / 根こそぎの木々もまた彼に従いたり」 — 『ラーマーヤナ』第五巻第一章、ラルフ・T・H・グリフィス訳