ロキは生まれながらのヨトゥンであり、ファールバウティとラウフェイの息子であるが、オーディンの義兄弟としてアース神族のもとで暮らし、彼らにとってもっとも役に立つと同時にもっとも危険な仲間の一人となっている。狡知に長け、姿を自在に変え、単純な悪というよりは善悪の埒外にある存在であるロキは、神々に災いをもたらすのと同じくらい頻繁にその問題を解決してもいる。かつて彼は牝馬に姿を変えて巨人の牡馬を誘い出し、その姿のままオーディンの馬スレイプニルを産み落としたこともある。しかし彼の悪戯はやがて牙を剥く。姿を偽り、盲目の神ヘズを欺いて、この世に彼を傷つけぬと誓われた唯一のものであるヤドリギの矢でバルドルを殺めさせたのである。
これに対し神々はロキを己の息子の腸で岩に縛りつけ、その顔に毒を滴らせる蛇を頭上に据えた。妻シギュンは器で毒をできる限り受け止めるが、それを空にするたびロキは身をよじり、大地を震わせる。すでに彼は女巨人アングルボザとの間に三体の怪物――狼フェンリル、大蛇ヨルムンガンド、そしてヘル――をもうけており、それぞれが世界の終焉においてその役割を果たすことになる。
Loki á orrostu við Heimdall, ok verðr hvárr annars bani
「ロキはヘイムダルと戦をまじえ、互いに相手を討つ者とならん。」 — 『スノッリのエッダ』、ブロドール訳
ラグナロクにおいて彼は縛めを解き放ち、死者たちの船の舵を取り、久しく予言されてきた相討ちの末にヘイムダルと相まみえる。