ヴ 現存する図像なし

インド · 怪物

ヴィビーシャナ

ラーヴァナの末の弟は、シーターを返すよう王に告げ、そのために一族の恥と呼ばれ、ランカーから海を隔てた岸で、一度の戦いも始まらぬうちに羅刹の王として即位した。

務めに忠実な心を持つ者 · 徳高き魂の者 · いとも賢き者

兄弟姉妹
ラーヴァナ、クンバカルナ、シュールパナカー
盟友
ラーマ、スグリーヴァ
支配
ランカー — ラーマにより即位
象徴
彼の棍棒、四人の羅刹の供、岸の上の空に立つこと、即位の灌頂に用いる海の水

同族に似ぬ羅刹

ヴィビーシャナはランカーの羅刹であり、ヴィシュラヴァスの子で、ラーヴァナの末の弟である。『ラーマーヤナ』の最後の書で、羅刹たちの歴史を遡って語るウッタラカーンダが、彼の母の名を記している。彼はカイカシーの末の息子であり、同じ行が彼を正しき者と呼ぶ。クンバカルナはもう一人の兄であり、シュールパナカーは妹である。

次の歌で、ブラフマーが彼に恩寵を授けようとする。ヴィビーシャナは両の掌を合わせ、最悪の苦難のなかでも心がダルマに留まること、そしてブラフマーの武器が教えられずして自分に訪れることを願う。ブラフマーは喜んでそれを授け、求められなかった贈り物を添える。ヴィビーシャナは羅刹の胎に生まれながら、その心がなおアダルマに向かわないがゆえに、彼に不死を与えるのである。

彼の妹も同じことを言う。アランヤカーンダで、シュールパナカーがラーマに兄弟を数え上げるとき、末の兄についてこう言う。विभीषणस्तु धर्मात्मा न तु राक्षसचेष्टितः、ヴィビーシャナは正しき者であり、羅刹が振る舞うようには振る舞わない。グリフィスの詩節はこれを「務めに忠実な心を持つヴィビーシャナ」と訳す。

ユッダカーンダでは、一度の戦いも起こる前に、シーターを返せとラーヴァナに告げるのが彼である。第九歌ではその忠告が三度、繰り返しとして現れる。マイティリー、すなわちシーターをラーマに返すべし、と。第一四歌ではさらに二度現れる。

会議と出奔

ラーヴァナの答えは第一六歌に来る。もし他の誰かがこのようなことを言ったなら、とラーヴァナは弟に言う、その者はすでに死んでいただろう。そして彼は言い終える。恥を知れ、一族の面汚しめ、と。グリフィスの詩節はこれを次のように伝える。「栄えある血筋の汚点たる汝よ、汝のほかの巨人の舌がこのような卑しき忠告をあえてしたなら、二度と私に恥をかかせて生きてはおれぬ」。ヴィビーシャナは地上に留まって答えはしない。

इत्युक्तः परुषं वाक्यं न्यायवादी विभीषणः। उत्पपात गदापाणिश्चतुर्भिः सह राक्षसैः॥ १७॥ अब्रवीच्च तदा वाक्यं जातक्रोधो विभीषणः। अन्तरिक्षगतः श्रीमान् भ्राता वै राक्षसाधिपम्॥ १८॥ स त्वं भ्रान्तोऽसि मे राजन् ब्रूहि मां यद् यदिच्छसि। ज्येष्ठो मान्यः पितृसमो न च धर्मपथे स्थितः। इदं हि परुषं वाक्यं न क्षमाम्यग्रजस्य ते॥ १९॥ सुनीतं हितकामेन वाक्यमुक्तं दशानन। न गृह्णन्त्यकृतात्मानः कालस्य वशमागताः॥ २०॥ सुलभाः पुरुषा राजन् सततं प्रियवादिनः। अप्रियस्य च पथ्यस्य वक्ता श्रोता च दुर्लभः॥ २१॥ बद्धं कालस्य पाशेन सर्वभूतापहारिणः। न नश्यन्तमुपेक्षे त्वां प्रदीप्तं शरणं यथा॥ २२॥ दीप्तपावकसंकाशैः शितैः काञ्चनभूषणैः। न त्वामिच्छाम्यहं द्रष्टुं रामेण निहतं शरैः॥ २३॥ शूराश्च बलवन्तश्च कृतास्त्राश्च नरा रणे। कालाभिपन्नाः सीदन्ति यथा वालुकसेतवः॥ २४॥ तन्मर्षयतु यच्चोक्तं गुरुत्वाद्धितमिच्छता। आत्मानं सर्वथा रक्ष पुरीं चेमां सराक्षसाम्। स्वस्ति तेऽस्तु गमिष्यामि सुखी भव मया विना॥ २५॥

「このように手厳しく詰られて、真実を語るヴィビーシャナは、手に棍棒を持つ四人の羅刹とともに身を起こした。そこで、天空に昇りながら、優雅なる弟ヴィビーシャナは、怒りに燃えて羅刹の主に語りかけた——『王よ、あなたは思い違いをしておいでです。望むままにお話しなさい——あなたは私の兄、父のように敬うべき方——しかしあなたは徳の道を歩んでおられない。兄上、あなたのその厳しい言葉を、私は忍ぶことができません。あなたの幸いのために、私はあの善意の言葉を述べたのです、十の首を持つ方よ。だがあなたは、死の支配下に置かれて、それに耳を貸されなかった。王よ、甘い言葉を語る者は多いが、不快であっても善意に満ちた言葉を語り、また聞くことのできる者は稀です。万物を奪い去る死の縄に縛られたあなたの死を、燃える家のように、どうして私が見過ごせましょうか。金の羽根をつけ、燃え盛る火にも似た、ラーマのよく研がれた矢に討たれたあなたを、私は見たくありません。武器の扱いに通じた勇者や強者たちでさえ、死に引き寄せられて、戦場で砂のように擦り減ってゆくのです。あなたは私にとって崇めるべき方。あなたの幸いのために述べたことをお許しください。ご自身と、羅刹に満ちたこの都をお守りください。ご多幸を!私は去ります。私なしで、どうかお幸せに。』」 — ヴァールミーキ『ラーマーヤナ』六・一六・一七〜二五、ダット 英訳

この歌は、侮辱を伝える行で、彼をन्यायवादी विभीषणः、正しきことを語るヴィビーシャナと呼ぶ。それから彼は地面を離れる。उत्पपात गदापाणिश्चतुर्भिः सह राक्षसैः、棍棒を手に、四人の羅刹とともに跳び上がった。そして次の詩節は、彼にअन्तरिक्षगतः、空から語らせる。サンスクリットでは棍棒は彼一人の手にあり、ダットは供の者たちにも棍棒を持たせている。グリフィスの歌には出奔がなく、別れの言葉も省かれているので、ここではダットを引く。

この演説は、語ることについての演説である。彼は兄に、年長者に払うべきものを認める。ज्येष्ठो मान्यः पितृसमो、年長者であり、敬うべき、父に等しい者、と。そして同じ行で、न च धर्मपथे स्थितः、彼はダルマの道に立っていない、と言う。それから、この詩における彼の役割のすべてを表しうる詩節が来る。सुलभाः पुरुषा राजन् सततं प्रियवादिनः। अप्रियस्य च पथ्यस्य वक्ता श्रोता च दुर्लभः。いつも耳に快いことを言う者は、王よ、容易に見つかる。不快だが有益なことについては、それを語る者も聞く者も、ともに稀である。ヴィビーシャナは語る者であった。ラーヴァナは聞く者ではなかった。

残りは絵に託した警告である。ラーヴァナは時の縄に縛られており、बद्धं कालस्य पाशेन、その弟は、彼が滅びゆくのを傍観できない。प्रदीप्तं शरणं यथा、燃える家のように。ラーマの矢に討たれて横たわるरामेण निहतं शरैः姿を、彼は見たくない。武器に練達した勇者たちでさえ、時が来れば戦場で沈んでしまう。यथा वालुकसेतवः、砂の堤のように。それから彼は許しを乞い、ラーヴァナに自身と都を守るよう告げて、去る。स्वस्ति तेऽस्तु गमिष्यामि सुखी भव मया विना、あなたに幸いあれ、私は去る、私なしで幸せであれ。

空に立つ嘆願者

彼は空を通って海を渡る。第一七歌で、猿たちは彼が来るのを見、スグリーヴァは敵を見る。羅刹が殺しに来たのだ、疑いはない、と彼は皆に言う。詩はその姿に、メール山の頂の形と稲妻の輝きを与え、鎧をつけた四人の供をそばに置く。猿たちがまだ話し合っているうちに、彼は岸に着き、その上に留まる。उत्तरं तीरमासाद्य खस्थ एव व्यतिष्ठत、北の岸に着いて、空に立ち続けた。

तेषां सम्भाषमाणानामन्योन्यं स विभीषणः। उत्तरं तीरमासाद्य खस्थ एव व्यतिष्ठत॥ १०॥ स उवाच महाप्राज्ञः स्वरेण महता महान्। सुग्रीवं तांश्च सम्प्रेक्ष्य खस्थ एव विभीषणः॥ ११॥ रावणो नाम दुर्वृत्तो राक्षसो राक्षसेश्वरः। तस्याहमनुजो भ्राता विभीषण इति श्रुतः॥ १२॥ तेन सीता जनस्थानाद् हृता हत्वा जटायुषम्। रुद्धा च विवशा दीना राक्षसीभिः सुरक्षिता॥ १३॥ तमहं हेतुभिर्वाक्यैर्विविधैश्च न्यदर्शयम्। साधु निर्यात्यतां सीता रामायेति पुनः पुनः॥ १४॥ स च न प्रतिजग्राह रावणः कालचोदितः। उच्यमानं हितं वाक्यं विपरीत इवौषधम्॥ १५॥ सोऽहं परुषितस्तेन दासवच्चावमानितः। त्यक्त्वा पुत्रांश्च दारांश्च राघवं शरणं गतः॥ १६॥ निवेदयत मां क्षिप्रं राघवाय महात्मने। सर्वलोकशरण्याय विभीषणमुपस्थितम्॥ १७॥

「その間、ヴィビーシャナは四人とともに、大洋の岸の高みに立った。スグリーヴァと将たちを見つけ、力強い声を張り上げて叫んだ——『巨人の王ラーヴァナのもとから、その弟、ヴィビーシャナと呼ばれる私は逃れてきた。ジャナスターンから、彼は術に惑わされたジャナカの娘を盗み、宮殿に閉じ込めて錠をかけ、羅刹の衛兵で囲んでいる。私はさまざまな教えを尽くして、哀れな捕われ人を返すよう彼に求めた。だが彼は、運命に滅びへと送られ、私の忠言を信じようとせず、安らぎをもたらす香膏を見ながらそれを退ける熱病の患者のように狂っていた。私が与えた賢い忠告を彼は退け、卑しく生まれた奴隷のように私を突き放した。私は子と妻を捨て、命を求めてラグの子のもとへ逃れる。ヴァーナラの将よ、どうか急いで、苦難の時に救う方のもとへ行き、遠き国々に名高いその方に告げてほしい——ここに嘆願者ヴィビーシャナが立っている、と。』」 — ヴァールミーキ『ラーマーヤナ』六・一七・一〇〜一七、グリフィス 英訳

サンスクリットはखस्थ एव、なお空に、と二つの詩節で二度言い、グリフィスは彼をそこに留めている。ダットは彼を岸に下ろしているが、サンスクリットはそうしていないので、ここではグリフィスを引く。グリフィスは他の箇所ではより自由である。サンスクリットがラーヴァナはジャナスターンからシーターを連れ去ったと言う、हत्वा जटायुषम्、ジャターユを殺して、という箇所で、グリフィスはジャターユを省き、惑わしの術を加えている。残りはサンスクリットに忠実に従っている。私は彼の弟である、と彼は言う。तस्याहमनुजो भ्राता。彼はラーヴァナに、पुनः पुनः、何度も何度も、シーターを返すよう言った。ラーヴァナは時に駆り立てられて、その忠告を拒んだ。विपरीत इवौषधम्、死にゆく者が薬を拒むように。彼は奴隷のように辱められた。दासवच्चावमानितः。そして息子たちと妻たちを捨て、庇護を求めてラーマのもとへ来た。राघवं शरणं गतः。庇護を意味する言葉शरणは、彼が会議で燃える家について用いた言葉と同じである。燃えるのを傍観することができなかった避難所であり、今や彼が乞う避難所である。

猿たちはすぐには納得せず、第一八歌でラーマは一つの誓いでそれを決着させる。一度でも庇護を求めて自分のもとへ来て、私はあなたのものですと言う者には、あらゆる生き物からの安全を与える、と。彼を連れてこい、とラーマはスグリーヴァに言う、ヴィビーシャナであろうと、ラーヴァナ自身であろうと。そうして初めて、第一九歌の初めに、ヴィビーシャナは降りてくる。喜んで、空から地上へと降り立つのである。彼は一つの歌の残りと次の歌の全体にわたって、空中に立っていた。捨ててきた兄と、まだ自分を受け入れていない陣営とのあいだに。

戦の前の王

ラーマは彼に庇護以上のものを与える。同じ歌で、彼に王位を約束する。私はあなたを王にする、と。

श्रुत्वा तु वचनं तस्य रामस्याक्लिष्टकर्मणः। शिरसाऽऽवन्द्य धर्मात्मा वक्तुमेवं प्रचक्रमे॥ २२॥ राक्षसानां वधे साह्यं लङ्कायाश्च प्रधर्षणे। करिष्यामि यथाप्राणं प्रवेक्ष्यामि च वाहिनीम्॥ २३॥ इति ब्रुवाणं रामस्तु परिष्वज्य विभीषणम्। अब्रवील्लक्ष्मणं प्रीतः समुद्राज्जलमानय॥ २४॥ तेन चेमं महाप्राज्ञमभिषिञ्च विभीषणम्। राजानं रक्षसां क्षिप्रं प्रसन्ने मयि मानद॥ २५॥ एवमुक्तस्तु सौमित्रिरभ्यषिञ्चद् विभीषणम्। मध्ये वानरमुख्यानां राजानं राजशासनात्॥ २६॥ तं प्रसादं तु रामस्य दृष्ट्वा सद्यः प्लवङ्गमाः। प्रचुक्रुशुर्महात्मानं साधुसाध्विति चाब्रुवन्॥ २७॥

「疲れを知らぬ行いのラーマのこれらの言葉を聞いて、徳高き魂の者(ヴィビーシャナ)は、彼に頭を垂れて、こう言い始めた。『羅刹を殺し、ランカーの都を荒らすために、私の力をお貸しいたしましょう。そしてラーヴァナの軍勢の只中に身を置きましょう』。すると、そう語るヴィビーシャナを抱きしめて、ラーマは喜び、ラクシュマナに言った。『わが弟よ、大洋から水を持ってきなさい。その水で、いとも賢きヴィビーシャナに灌頂し、私は直ちに彼を羅刹の王とする、おお名誉を授ける者よ。彼にはいたく満足しているのだから』。このように言われて、サウミトリは、王の命により、猿の軍勢の面前でヴィビーシャナに灌頂し、羅刹の王とした。ラーマのこの恩寵(ヴィビーシャナへの)を見て、猿たちは気高き魂の彼を讃え、『よし、よし!』と叫んだ。」 — ヴァールミーキ『ラーマーヤナ』六・一九・二二〜二七、ダット 英訳

彼は頭を垂れ、羅刹を殺しランカーを攻め落とすための助力を申し出る。यथाप्राणं、命の続く限りに。ラーマはランカーが陥ちるのを待たない。彼を抱きしめ、ラクシュマナに水を取りに行かせる。समुद्राज्जलमानय、海から水を持ってこい。ダットはラーマが自らヴィビーシャナを王にすると言わせているが、サンスクリットはラクシュマナに語りかけている。महाप्राज्ञमभिषिञ्च विभीषणम्、いとも賢きヴィビーシャナに灌頂せよ、と。そして次の詩節は、ラクシュマナがそうしたと述べる。それはमध्ये वानरमुख्यानां राजानं राजशासनात्、猿の長たちの只中で、王として、王の命により行われ、猿たちはसाधुसाध्विति、よくやった、よくやった、と叫ぶ。軍はまだ海を渡っておらず、ラーヴァナはその向こうでなお王座にある。ランカーの新しい王は、両者の間にある海の水で灌頂されるのである。

それ以後、彼は自分自身の一族に対するラーマの案内人となる。クンバカルナが起こされ、ラーマがランカーに山ほどの巨人を見たとき、それが誰かをラーマに告げるのはヴィビーシャナである。インドラジットが火の儀式のためにニクンビラーへ行くと、ヴィビーシャナはインドラジットの恩寵の条件を繰り返す。供物が捧げられる前に彼を討つ敵が、彼の死となる、と。そしてラクシュマナとともに、先に討つために向かう。第一〇九歌で、彼は兄が戦場で死んでいるのを見つけて嘆く。英雄にして名高く、政策に長け、高価な寝台に慣れた者が、なぜ殺されて地に横たわっているのか、と。来たものは、と彼は言う、かつて自分が彼に告げたことそのものであり、欲と愚かさに捕らわれたラーヴァナは、それを聞くことを好まなかった。

戦が終わると、戴冠はもう一度行われる。第一一二歌で、ラクシュマナはランカーで、羅刹たちの只中で、ラーマの命により、彼を王として再び灌頂する。最初の詩節と同じ形の詩節であり、猿の長たちの代わりに羅刹たちが置かれ、最初が単に王と言ったところにラーマの名が出される。最悪の苦難のなかでダルマに留まる心をブラフマーに求めた羅刹は、ランカーの王として戦を終え、兄が戦った側によって二度、王冠を戴く。

言及している項目