キマイラの図像
AI-generated (gpt-image-2)

ギリシャ · 怪物

キマイラ

リュキアの火を吐く獣。前は獅子、後ろは蛇、中ほどは山羊の姿をしており、ベレロフォンが最初の課題として討つよう送り込まれ、翼ある馬ペガソスの背から射倒された。

荒れ狂う · 忌まわしい名の

兄弟姉妹
オルトロス、ケルベロス
討たれた相手
ベレロフォン — ペガソスの背から射殺した
象徴
獅子の前半身、蛇の尾、中ほどの山羊の頭、火の息、荒らされた土地と家畜、ペガソス、矢

神の血筋

ホメロスは、戦場で語られる物語の中でキマイラについて語る。『イリアス』第六歌で、グラウコスとディオメデスは両軍のあいだの空間で出会い、ディオメデスはグラウコスに何者かと尋ねる。グラウコスは自分の系譜を答え、その系譜は祖父ベレロフォンにさかのぼる。プロイトスの妻アンテイアはベレロフォンを偽って訴え、プロイトスは自分の手で彼を殺そうとしなかった。彼はベレロフォンをリュキアの妻の父のもとへ送り、折り畳んだ書板に災いをもたらす印を記して持たせた。リュキアの王は客を九日間もてなした。十日目に王は印を見せるよう求め、それを受け取ると、ベレロフォンに最初の課題を与えた。

πρῶτον μέν ῥα Χίμαιραν ἀμαιμακέτην ἐκέλευσε πεφνέμεν· ἣ δ’ ἄρ’ ἔην θεῖον γένος οὐδ’ ἀνθρώπων, πρόσθε λέων, ὄπιθεν δὲ δράκων, μέσση δὲ χίμαιρα, δεινὸν ἀποπνείουσα πυρὸς μένος αἰθομένοιο, καὶ τὴν μὲν κατέπεφνε θεῶν τεράεσσι πιθήσας

「まず、荒れ狂うキマイラを殺すよう命じた。それは神の血筋であって人間のものではなく、前は獅子、後ろは蛇、中ほどは山羊であり、燃え立つ火の力を恐ろしく吹き出していた。そしてベレロフォンは神々の兆しを頼みとして、これを殺した」 — ホメロス『イリアス』六・一七九〜一八三、A・T・マレー 英訳

五行に、課題と怪物とその死がおさめられている。ホメロスが彼女に最初に与えるものは形容辞 ἀμαιμακέτην であり、マレーはこれを荒れ狂うと訳す。二番目は彼女の種類である。θεῖον γένος οὐδ’ ἀνθρώπων、すなわち神の血筋であって人間のものではない。ホメロスは彼女の両親を名指ししない。彼女の血筋が神のものだと述べるだけである。

次に、ホメロスは一行で彼女の体を示す。πρόσθε λέων, ὄπιθεν δὲ δράκων, μέσση δὲ χίμαιρα。前は獅子、後ろは蛇、中ほどは山羊である。ホメロスは一つの体の三つの部分、すなわち前と後ろと中ほどを描き、頭の数は数えない。この行の最後の語は χίμαιρα、すなわち彼女の中ほどの山羊であり、二行前の彼女の名 Χίμαιραν と同じ語である。マレーは前者をa goatと訳し、後者は名として残している。次の行が彼女の火を与える。δεινὸν ἀποπνείουσα πυρὸς μένος αἰθομένοιο、すなわち燃え立つ火の力を恐ろしく吹き出していた。ホメロスは、彼女のどの部分がそれを吹くのかを述べない。

彼女の死は一つの節で語られる。καὶ τὴν μὲν κατέπεφνε θεῶν τεράεσσι πιθήσας、すなわちそしてベレロフォンは神々の兆しを頼みとして、これを殺した。ギリシア語にあるのは動詞だけで、ベレロフォンという名はマレーが補ったものである。ホメロスは武器も馬も挙げない。このあとベレロフォンはソリュモイと戦うので、キマイラは彼の課題の最初のものである。

ホメロスは第十六歌でもう一度彼女の名を挙げる。サルペドンの仲間のうち槍の使い手二人がそこで戦死し、ホメロスは二人の父アミソダロスを、キマイラを育てた男として名指す。彼は同じ形容辞 ἀμαιμακέτην を与え、彼女を多くの人々にとっての災いと呼ぶ。このように、この二つの箇所で『イリアス』は彼女に育てた男を与えるが、父も母も与えない。

獅子と蛇と山羊

アポロドロスは同じ物語を自分の順序で語る。プロイトスは妻の訴えを信じ、ベレロフォンにイオバテスへの手紙を持たせるが、その中にはベレロフォンを殺すべしと書かれていた。イオバテスはアポロドロスがリュキアの王につける名で、ホメロスはグラウコスの話の中でこの王の名を挙げない。

Ἰοβάτης δὲ ἀναγνοὺς ἐπέταξεν αὐτῷ Χίμαιραν κτεῖναι, νομίζων αὐτὸν ὑπὸ τοῦ θηρίου διαφθαρήσεσθαι· ἦν γὰρ οὐ μόνον ἑνὶ ἀλλὰ πολλοῖς οὐκ εὐάλωτον, εἶχε δὲ προτομὴν μὲν λέοντος, οὐρὰν δὲ δράκοντος, τρίτην δὲ κεφαλὴν μέσην αἰγός, δι᾽ ἧς πῦρ ἀνίει. καὶ τὴν χώραν διέφθειρε, καὶ τὰ βοσκήματα ἐλυμαίνετο· μία γὰρ φύσις τριῶν θηρίων εἶχε δύναμιν

「手紙を読んだイオバテスは、獣に滅ぼされるだろうと考えて、キマイラを殺すよう彼に命じた。というのも、それは一人どころか多くの者にも手に負えず、獅子の前半身と竜の尾を持ち、第三の頭である中の頭は山羊のもので、そこから火を吐いたからである。それは国土を荒らし、家畜を害した。三匹の獣の力を持つ、一つの生き物だったのである」 — アポロドロス『ビブリオテケ』二・三・一、J・G・フレイザー 英訳

アポロドロスは王の目的をはっきりと述べる。νομίζων αὐτὸν ὑπὸ τοῦ θηρίου διαφθαρήσεσθαι、すなわち獣に滅ぼされるだろうと考えてである。彼はその考えの理由も挙げる。この獣は οὐ μόνον ἑνὶ ἀλλὰ πολλοῖς οὐκ εὐάλωτον、すなわち一人どころか多くの者にも手に負えなかった。

彼の記す体はホメロスの順序に従うが、頭を数える。προτομὴν μὲν λέοντος、獅子の前半身。οὐρὰν δὲ δράκοντος、竜の尾。τρίτην δὲ κεφαλὴν μέσην αἰγός、第三の頭である中の頭は山羊のもの。蛇は両者で同じ語であり、ホメロスでは δράκων、ここでは δράκοντος だが、マレーはserpent、フレイザーはdragonと訳す。アポロドロスの山羊は αἰγός、つまり普通の語であり、彼女の名である語ではない。彼はまた、どの頭が火を吐くかも述べる。δι᾽ ἧς πῦρ ἀνίει、すなわちそこから火を吐いた。アポロドロスでは、火は山羊の頭から出る。

彼はまた、これらの著者のうち、彼女が土地に何をしたかを語る唯一の人である。καὶ τὴν χώραν διέφθειρε, καὶ τὰ βοσκήματα ἐλυμαίνετο、すなわち国土を荒らし、家畜を害した。彼はさらにもう一つの節で彼女の強さを説明する。μία γὰρ φύσις τριῶν θηρίων εἶχε δύναμιν、すなわち三匹の獣の力を持つ、一つの生き物である。そのうえで、彼女について言われていることを加える。彼女はアミソダロスに育てられた、ホメロスもそう断言しているとし、またヘシオドスが語るとおり、テュポンがエキドナに生ませたとする。

ヘシオドスの本文は彼女を二度描く。エヴリン゠ホワイトによる『神統記』の訳では、彼女は荒れ狂う火を吐き、恐ろしく、大きく、足速く、強かった。彼女には三つの頭があり、一つは険しい目の獅子、もう一つは山羊、もう一つは蛇、すなわち猛き竜のものだった。続く二行は、ホメロスの二行と一語一語まったく同じである。πρόσθε λέων, ὄπιθεν δὲ δράκων, μέσση δὲ χίμαιρα, δεινὸν ἀποπνείουσα πυρὸς μένος αἰθομένοιο。el.wikisource のギリシア語本文は、この二行を角括弧に入れて印刷しており、これは編者が疑わしいとするしるしである。つまりヘシオドスの本文は、まず彼女に三つの頭を与え、次にホメロスの一つの体の三つの部分を与える。アポロドロスの記述はこの両者の中間に立つ。ホメロスと同じく獅子の前半身と蛇の尾を持つが、山羊を第三の頭と呼ぶ。

ペガソスから射倒される

ホメロスはベレロフォンがどのように彼女を殺したかを何も語らない。アポロドロスはキマイラの出自からそのまま殺害へと進み、その方法を述べる。

ἀναβιβάσας οὖν ἑαυτὸν ὁ Βελλεροφόντης ἐπὶ τὸν Πήγασον, ὃν εἶχεν ἵππον ἐκ Μεδούσης πτηνὸν γεγεννημένον καὶ Ποσειδῶνος, ἀρθεὶς εἰς ὕψος ἀπὸ τούτου κατετόξευσε τὴν Χίμαιραν

「そこでベレロフォンは、メドゥーサとポセイドンから生まれた翼ある馬ペガソスにまたがり、高く舞い上がって、その高みからキマイラを射倒した」 — アポロドロス『ビブリオテケ』二・三・二、J・G・フレイザー 英訳

馬には、それ自身の出自が添えられている。ペガソスは ἵππον ἐκ Μεδούσης πτηνὸν γεγεννημένον καὶ Ποσειδῶνος、すなわちメドゥーサとポセイドンから生まれた翼ある馬である。ベレロフォンは彼にまたがり、空へ昇る。ἀρθεὶς εἰς ὕψος、高く舞い上がってである。殺害の動詞は κατετόξευσε である。これは矢で射倒したという意味で、フレイザーはその高みからキマイラを射倒したと訳す。多くの男たちに手に負えなかった獣が、空から射る一人の男に殺される。アポロドロスは、彼女が抵抗したとは述べない。

ヘシオドスは殺した者たちを挙げるだけで、ほかには何も語らない。彼女を殺したのは、ペガソスと気高いベレロフォンである。彼の行では馬が騎手より先に来て、武器は挙げられない。ホメロスは馬も武器も挙げない。与えるのは神々の兆しだけで、それが θεῶν τεράεσσι πιθήσας である。したがって、矢が出てくるのはアポロドロスだけである。キマイラのあと、イオバテスはソリュモイと戦うよう命じ、そのあとはアマゾンと戦うよう命じた。

エキドナの娘か、ヒュドラの娘か

ヘシオドスは『神統記』の怪物の目録の中、ヒュドラのすぐあとにキマイラを置く。彼女を導入する行は Ἥ δὲ Χίμαιραν ἔτικτε、すなわち彼女はキマイラの母であったであり、その代名詞は彼女が誰かを述べない。この目録がこれまで子らを列挙してきたエキドナにさかのぼるかもしれないし、名が挙がった最後の子であるヒュドラを指すかもしれない。このウィキのヒュドラの項は、この行が決めないため、キマイラをヒュドラの姉妹とも娘とも記していない。

アポロドロスはこれを決める。彼が、ヘシオドスが語るとおり、テュポンがエキドナに生ませたと言うとき、彼はヘシオドスの代名詞をエキドナと読んでいる。この項はアポロドロスに従う。彼の読みでは、キマイラは、ヘシオドスがエキドナとテュポンに与えた最初の二人の子、オルトロスとケルベロスの同腹の姉妹である。ヒュドラは彼女の兄弟姉妹の一覧に入っていない。この行のもう一つの読みでは、ヒュドラが彼女の母だからである。

ホメロス風讃歌『アポロン讃歌』は、彼女をテュポンとともに一度だけ挙げる。アポロンはピュトンを矢で射、彼女が死にゆくとき、その上で誇って言う。Τυφωεὺς、すなわちテュポエウスも、Χίμαιρα δυσώνυμος、すなわち忌まわしい名のキマイラも、彼女から死を遠ざけはしないだろう、と。テュポエウスは、この讃歌がテュポンに用いる綴りである。讃歌では二体の怪物が並べて名指され、どちらも彼女を救えない。

言及している項目